Gran Fondo Myoko 後半:いざゴールへ

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Gran Fondo Myoko2021 参戦記 前編

グランフォンド前日のBEERS&BIKESのイベント、グランフォンド妙高 前半戦に続き、レポートをお送りします。

第一チェックポイントに登るきつい坂にさしかかり
ご飯を食べて元気になった一同もすでに無口に。

レポートしようとして気付いたが、後半の写真がない。→余裕がない。

不調を訴え、遅れていった伊藤は復活するのか。
そんな過酷な後半戦の模様をお伝え致します。

ようやく1つ目のチェックポイント

それにしても長い登り(6.8km/388m/5.8%)
それにしても長い1個めのチェックポイント。
具合の悪そうな伊藤を後ろに、土井選手と増田を前に必死に登る。
先行する二人の姿は見えなくなった。

ひたすら登る。
そうこうするうちに、遠すぎた第一チェックポイントにようやく到着。
何やら様子がおかしい。
増田がずっと電話している。
後から状況を聞くと、このきつすぎる登りの後半に、仕事上の着信があり何か深刻そうに電話をしながら登っておりチェックポイントでもそれが続いているよう。
チェックポイントで一息つききったのだが、まだ電話をしている。
再スタートが切れないじゃないか。

ついに足切りされてしまうのか!?

増田の電話が終わるのを待っている間に、伊藤が登ってきた。えらい!
が、すでに顔に精気はない。

残り70km。
この状態で、残り70km。
週末たっぷり寝たあとの目覚めでも、理由をつけて今日はやめておこうと思う距離だ。

そんな待機中、運営の方たちが何か協議中。
嫌な予感がするが、どうやらその予感は当たっていそう。
どうやら、今のタイムでこの地点だと、時間内にフルコースを走るのは困難という判断。
標高ルートを見ても、この後明らかにヤバそうなグラベルの登りが待っている。
その名もKinasa Gravel Sector(7.7km/440m/勾配不明&見た感じハード)

カットルートを提案される。当然その提案だろう。
けど、そのまま行きたい気もする。
体力的にはまあまあ来ており、近道もしたいが、160km,4000mを挫折して来年リベンジという方がつらい。
時間はオーバーしてもやりきっておきたい。
そう思いながらも、運営の方に迷惑をかけるわけにもいかない。

行ってよし

どうしても行きたい、その気持ちを誰よりも強く持っていた土井選手が掛け合う。
すると十分なサポートはできないが、それでもよければ行ってよしの判断。
主催者が外国人の方ということもあり、そのあたりは寛大だ。
賛否ありそうだが、これには感謝。

精気を失った伊藤には、改めてカットルートを説明をしてもらう。
疲労に加えて、英語の説明に対してうんうんと聞いているが大丈夫なのか!?と心配になる。

行くのか、本当に行くのか、伊藤!?

そこからはまた長い下りを下る。
遅れているので、ここは今までで一番速いスピードで下る。

下りきったところで、カットルートと本来のルートの分岐点にさしかかる。
伊藤にまた後でね、と別れようとすると、そのまま一緒に左折してオリジナルコースについてくる。
いやいや、大丈夫なのか!?

復活しました。

わかる、自分の回復をみてもわかる、でも一つ言えるのは
それは、長い下りだったからだ。
と説得するが、何とか登ろうとする。
(若干重い空気を察した土井選手の遠方からの隠し撮り)

気持ちはわかるが、時間切れでサポート車が無くなった今、未舗装路の山の中で体力が切れると、どうしようもない。
こちらも、なんとかする体力も残っていない。
ここからは長いグラベルの登りが続く。標高マップを見ても後半の山場であることが伺える角度だ。

本当にやめておいたほうが良い…
そう言うが、行きたい気持ちもあり、ついてこようとする。

体育会系でない自分も、人生で一度も言ったことはないと思うけど、
つい声を荒げ、本当に行くなら死ぬ気で何があってもついてこい!的な何かを言ったと思う。

絶対に途中でリタイヤはありえない。
行きます!と一旦答えた伊藤も、登っているうちに、やっぱり足がつり始めたのでカットルートに引き返しますと。

さらば伊藤、よかったのか自問自答

言い過ぎたかな、無理してでもチャレンジしたほうがよかったのか、でも何かあっては遅いしと、自分に対する肯定と否定をケイデンスごとに繰り返していたら、
そんなモヤモヤをふっとばすきつさ。

ダラダラと長い登りが続く。
標高マップの長い緑の区間はグラベルのはず。
でもここは荒い舗装路、きっとこれもグラベルカウントなのだろうと思いながら登る。
土井選手と増田に必死についていく。
スピーカーから流れる音楽のリズムで、何も考えず登っていく。
ようやくピークが近づいたかと思ったその時、そこからが本当のグラベルに入った。
ここからがあのきつそうな緑の登り。

正しかった標高マップ

あらためて、ここ。過去の限界を更新し続けてからのここ。

あのきついやつが今からかと思うと正直うんざりしてきた。
昔から、きつい登りを登っていたら、きつさは相対的なもので、もっときついことを経験していたら、あれに比べたらきつくない、大丈夫
というよく分からない自分への励ましで何度か乗り越えてきた。
が、すでにそのきつさを更新し続けているのできつい。
ここまで来たら行くしかないとひたすら登り続ける。
どれだけ登ったのかあまり覚えていないが、峠の独特な光が横からさしてくる感じがやってくる。
ピークだ。

ただし、残り獲得1000mと、40kmは考えないものとする。

そこからはまたひたすら長い下り、スパーっと降りて、第2チェックポイントを目指す。
リアライトが今にも切れそうだったので、暗くなる前に充電しながら走る。

いい景色だ。下りになると写真が増えていく。
なんて山深いところにきたのだろう。写真では伝わりにくいが、この5倍位のスケールで崖がそびえ立っている。

そのまま第2チェックポイントを目指して下る。
下りは余裕が生まれる。思いやりも取り戻してくる。
引き返した伊藤は先にゴールしただろうか…

前方に迫る2つの影

そう考えてながら下っていたら、下から2名自転車が登ってくる。
こんな山奥でこんな時間に、一般のライダーということもないだろう。
不審に思いながらも、一応挨拶をしようと顔をあげる。

伊藤だ。

外国人ライダーの方と一緒で、しかも何故かすごく仲良くなっている。
さっきまできつすぎたこととか、一方通行のルートのはずなのに再びすれ違うこととか、
その方は?この別れていた時間にそこまで仲良くなれるのはなぜ?とか
いろいろキャパが狭くなっている今、情報量が多すぎて処理しきれない中、もう短い言葉しか発することができず

何してるの?と

ナビがこちらに誘導していたとのこと。
どうやら、カットルートを選んだものの、ナビが元のコースに戻そうとしていたようだ。
ここですれ違わなかったら、あのきつい山へ終わりのない二人のライドが待っているところだった。
良かった良かったと合流し、すでにチェックポイントを済ませた二人と別れ、第二チェックポイントに。
新たなチーム編成がここで誕生。

第2チェックポイント(121km)

もう誰もいないだろうが、一応ルートはすべてトレースしようと展望台に。
まだ、いてくれた。なんとも言えないうれしさと感謝の気持ちが。

もうさすがに最後だろうと思って、聞いてみると後ろにまだ11人はいるとのこと。
なんて過酷なイベントなんだ。
ここからは、ほぼゴール手前まで長い下り。
ひたすら高速で下り続けて、それでもまだ獲得標高3400m。

ゴールまで近づいているが、4000mまで届くのか?
ここから600m登るのはいやだけど、4000mはいきたい。

小さな山、ちょっとした峠の登りも、お小遣いを稼ぐ気持ちで前向きに取り組めてきた。

長い旅の終わり

気づけば別れていた新伊藤チームメンバーもゴール手前でまた一緒になれた。
長い旅もこれで終わり。
日も暮れてきた。

本当にきつかったけど、ようやく終わる。
制限時間の1時間40分遅れでゴールに。こんな遅れた私達をMCが盛り上げてくれ、無事ゴール。

伊藤も、最後は苦楽を共にしたブラッドさんと手をつないでゴール。
フィニッシュエールをもらい、洗車。

ゴールしてGPSを確認すると約160km、3900m。若干誤差はあるものの、走りきったのでよしとしよう。

体力の限界が来ると、精神的にもいろいろ冷静でいられなくなったり、
コンビニの食事後満たされて、わかりやすくチームメンバー全員のテンションが高くなっていたり
また、その体験を一緒にしたことで、それまで以上の距離感の近さみたいなものを感じたり、
別れもあれば出会いもある、ドラマもいろいろあって、何か強烈な思い出となって残っている。

先頭グループにはもっとハイレベルな景色があるのだと思うが、最後尾で繰り広げられていた人間臭さいっぱいの体験。
自分の力で進む自転車だからこその体験。

そんな体験をさせてくれ、最後まで完走させてくれたGran Fondo Myokoには感謝の気持ちでいっぱい。

ゴール直後は、人生で一回はきついことしといて良かったという達成感とともに、
もういいなと思っていたが、1週間経って振り返ると、
すでに思い出フィルタで、すでに楽しかった思い出に変換されまた行きたいと思っている自分がいる。

この後、50km以上,獲得標高1000m以上など今までだったら半年に1回しとけばいいや的なライドに毎週行くようになった。

チャレンジは自分の可能性を広げてくれる、自転車という乗り物の楽しさにもう一歩入れた気がした。

 

Gran Fond Myoko 参加レポート

 

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