元?BMXレーサー 土井 昭 SDA王滝100km 3度目の挑戦 VOL.4
レースまでの準備 装備編
王滝に出場しようと決めたときにライダーが一番気になるのがバイクのセッティングや持ち物ではないでしょうか?
自分は初挑戦のときに毎日スマホで「王滝 100km セッティング タイヤ…」などのワードで検索していました。自分の中でベストのセッティングを探すのも楽しみのひとつです。
今回で王滝参戦は3回目になるのでセッティングはほぼ決まっています。
バイクは昨年とほとんど同じ仕様でXC用の29er(29インチホイール)、タイヤは前後2.25のチューブレスレディ。重量、転がり抵抗、クッション性、耐パンク性を考慮しバランスが良さそうなものを選んでいます。ハンドルバーはRENTHALのカーボンモデルにすることで軽さと振動吸収性を上げている。
バイクに装着するバッグやツール類はLEZYNEで統一。
パンク修理キットやマルチツールはサドルバッグへ、羊羹などの固形の補給類はフレームバッグへ、エナジージェルはフラスコに入れてハンドルバーに着けたバッグへ収納。自分の場合はバックパックを使わないのですべてバイクに装着します。
画像の状態が今回の完成形です。
クランクセットはROTOR。楕円リングが長いヒルクライムで効果を発揮してくれます。
疲労でペダリングが乱れてきたときほど効果があるように思います。
スプロケットはF. 30T / R. 11T~42T
サドルはBROOKSをチョイス。一見硬そうに見えますが実はボディー全体が適度にしなり長時間のダートライドでも快適です。前方を大きく下げることによってヒルクライムの際に一番リラックスしたポジションになります。平地や下りでは乗りにくいですがヒルクライムの走行時間が1番長いので王滝ではこれがベストだと思います。
またセッティングとは違いますが携帯するチューブは新品でも一度膨らませてエアー漏れがないかチェックしましょう。せっかく交換作業をしてもエアー漏れがあると意味がありませんからね。
また、タイヤカットなどでチューブを入れる際に手がシーラント液で手がベタベタにならないように薄手のゴム手袋も携帯しています。王滝や日頃走っている山は振動が激しいのでこうしてチューブに被せると保護にもなります
他にも自分の場合は水分補給をボトル2本で行いますがメインはスポーツドリンクを入れサブは水にしています。サブを水にすることで暑いときに体にかけたり怪我をした場合に洗い流したりと汎用性がありおすすめです。
そういえばスタートからパレード走行が終わるまでの間は800台ほどの密集した集団になるので接触やスピードの変化が大きく危険です。ボトルを落を落としたり片手運転での落車を多く見かけるのでスタート前に水分を摂ってレースが落ち着くまでは補給系は我慢するのも無事完走するためには大切なので参考にしてください。テンションが上がって自分もついつい飲みたくなるんですけどね。(笑)
いよいよレース本番まで約1週間となりプロのメカニックにバイクの整備をしてもらいました。新車のようにシャキッとなり走りが軽くなっているので気持ちが上がります!
バイクは仕上がったので他の準備も早めに済ませて完璧の状態で会場入りできるようにしたいと思います。
トレーニング編
そしてトレーニング編です。最近では大好きなBMXにはあまり乗らずMTBやロードでヒルクライムをメインにトレーニングしています。タイトルの「元?BMXレーサー…」としたのもあまりにもBMXに乗れてないからです。いろんなバイクで日替わりに楽しんでいるので「雑食系ホビーレーサー」ですね。(笑)
さて、バイクや装備も大切ですが実際に動力になるのは人間です。いくらバイクを仕上げても人間が弱いと意味がありません。王滝のトップライダーは4時間台でゴールするので仮に入門用のMTBで走っても自分より速いでしょうね。
王滝に出場すると決めてから今回もこちらの山でたくさん遊ばせてもらっています。
この美しく強烈な坂道は見るだけで心拍数が上がりませんか?(笑)
今年のトレーニングにはLEZYNE MEGA XL GPSを導入。ライド中のあらゆる情報が数字として表示できるので大嫌いだった上りも少しずつ楽しめるようになりました。
最近のマイブームはGPSに表示される斜度と心拍数を見ながら上ることです。(笑)
主なトレーニングプラン
ざっくりですが初挑戦のときとほぼ同じ内容です。
1. 平日はなるべくロードで通勤ライド。帰りは山間部含めた30km1時間ほどを週1~3回。
2. 週末はMTBやロードで多くの山を越え持久力と補給の練習をする。
3. ガレ場の上りで持久力とペダリングテクニックを磨く
本当はBMXでジャンプしたりして楽しみたいのですが王滝が終わるまでは我慢してこのプランでの生活です。
平日のライドでは息子や地元の後輩を巻き込んでやることもしばしば。 数名でハンデをつけて勝負すると1人でやるより強度が上がっていいですね。
3台ともLEZYNEのGPSを装着。
週末はなるべく多くの山を走るように心がけています。たくさんの山を上ると体力と回復力が付くのはもちろんですがトラブルにも遭遇します。それらを対処することによって経験値があがりライダーとしての幅が広がります。
仮想王滝 2018
実は2回目挑戦の前にTKCテイスケ氏、662cccボス田口氏、100kmマラソン完走した662ccc奥ちゃんと4人で行った「仮想王滝ライド」を実施。
この時の経験は今後のノウハウと思い出がたくさん残りました。
コースは自分が週末にトレーニングで走っている山を3つ繋ぎ合わせ、距離約75km、獲得標高約2700m、途中で王滝より激しいガレ場のヒルクライム区間もあります。
自分以外の3名は王滝には出場しませんが関西シクロクロスでC1、C2で走っていて自分より強く、序盤の長い上りではペースが速くついていくのに必死で心拍数は常に170超え。最大心拍数は計算上180なのでかなりキツイ!
下りも高強度なうえにハイペースで練習になった。
2つ目の山も激坂を越えてピークで休憩。今回のルートの内容を知らなかった奥ちゃんがこの先にもっとキツイ山にアタックすることを知り怒りだす(笑)
おそらくこの時点で獲得標高は1700mほどでしょうか?MTBで山を上るのはロードと違い路面がデコボコであったり担ぐところがあったりとかなり過酷です。でもみんなが押して上がった上りを自分だけ乗ったままクリアするなど楽しさと達成感もあります。
2つ目の山のハードなダウンヒルをトラブルなく終え1番きつい3つ目の山へ差し掛かる。最後のガレ場の激坂区間は自分が慣れているうえに「王滝に出る!」というモチベーションが高いのでガンガン踏み込みトップで上り切る。
ここは斜度10%~17%のガレ場で脚力とテクニックの両方が必要。ここで足を着かずに上れると王滝の上りは楽勝です!ここは全員かなり苦しみました。 ガレ場区間を終えるとテイスケ氏がタイヤカット。
このときにはじめてチューブレスレディのパンク修理を見ることができて勉強になった。
この作業を見てから薄いゴム手袋を携帯するようになり後に役に立つことになる。
この辺りから食料がカロリーメイト一箱だけの田口氏と奥ちゃんのペースが急激に遅くなる。
ハンガーノックです。
実力がある2人ですがエネルギーが無くなると人はこんなに弱るんだと体を張って教えてくれました。(笑) 1人のときにハンガーノックは笑えませんが、今回はみんなでオヤツをシェアして最後の最大23%の上りへ。ここはテイスケ氏が速く自分は2番手。ハンガーノックの2人は仲良く押して上がってきた。
最後のピークで自転車大好きなオジサン4名で記念写真。何十年たってもこうして一緒に楽しめて最高です!
山後すぐの道の駅で田口氏が菓子パンを4つも食べていました。相当腹が減っていたのでしょう! このライド以降みんな補給に対してかなり気を遣うようになったのは言うまでもない(笑)
みんなでたくさん笑い、汗をかき、トラブルも乗り越え、思い出と経験が詰まったライドでした。
では、今年行った週末ライドもいくつか紹介。
嵐山までライド
2月頃に息子と自宅から京都の嵐山まで往復150kmのライドへ。
しかしこのときに両膝が腸脛靭帯炎になり、帰りの枚方で全くペダリングができなくなる。あと50kmを残しお迎えに来てもらうことになったので100kmで終了。
暗峠
日本一の激坂といわれる「暗峠」にロードで挑戦。
ここは国道308号線で大阪府と奈良県をつないでいます。
国道といっても道幅が狭く自動車とすれ違うには注意が必要です。
いくら激坂といっても一部だけだろうと舐めていましたが、これが思っていたより遥かに激坂の区間が長い!スタート時からゴール前までずーっと激坂!
あとで調べると平均斜度20% 最大斜度37%だとか…。そりゃキツイわ…。(汗)
ヒルクライム用のセッティングもしくはMTBの方がいいかもしれません。
途中ヤンチャそうな単車に乗った若者たちから何度も応援してもらい頑張る。
25分くらいかかりましたが平均心拍数も169拍、ずっとインナーローで全力のダンシング!下ってくる自動車はみんなブレーキが焼けている匂いがします。
ここが有名な最大31%だがここはアウト側が緩いので他の区間の方が辛い。
ちなみに帰りは時間があれば奈良県側に下った方が安全です。大阪側は何度も休憩しないとブレーキのトラブルになりかねませんので注意です。
暗峠を下っているときに最近流行りのディスクロードの必要性を強く感じました。
王滝とは違うタイプの坂道ですがこれはこれでいい経験?いいネタ?になりましたね。(笑)
月に膝の調子が良かったので一人で「仮想王滝」へ。
気合いを入れて出発するも寒さと日々の疲れで力が入らずスローペースで山を越えていく。 このときは最後のピークまでは無休憩で行くプランだったがガレ場の下りでタイヤカットしパンク。
ゴム手袋付けて余裕で修理できると思っていたらチューブレスレディのバルブが固くて外れずチューブを入れることができない!なるほど、そういうパターンもあるんやな。(笑)
もちろんペンチは持っていないので裏側から親指で猛プッシュしながらネジを回し外した。山奥から歩いて帰らずに済んでよかった。(笑) 無事に最後のピークへ。風が強く寒かったので自撮りだけして急いで下山。
画像を撮り忘れましたがLEZYNEのハンドポンプがしっかりとエアーが入ってくれたのも助かりました。
一人でハイカーもほとんどいない山なので王滝よりもセルフディスカバリーですね。(笑)
山は危険なのでなるべく数名で行くことをお勧めします。
ロードで200kmライド
5月中旬に息子からのリクエストでロードバイクで200kmのライドへ。
息子とは小学校4年生のときに大阪~伊勢神宮をBMXで145km、5年生のときに大阪~三重県桑名市をBMXで165km、中学1年のときに大阪~福井県178kmを走っています。
朝から寝坊し予定より遅れてスタート。石川~大和川へのサイクリングロードを走り大阪市内は一般道を通過。40kmほど走り淀川の毛馬こうもんへ到着。ここから京都府の嵐山まで約50kmのサイクリングロードが繋がっています
50km弱の距離を車や信号なしで走れるなんて最高ですね。アップダウンもほとんどありません。
しかし淀川サイクリングロードに入ってすぐに腸脛靭帯炎で膝が痛みだす。痛み止めでごまかすが長い先のことを考えると帰るべきか悩む。妻に連絡すると「ダメになった場所まで迎えに行くからいけるとこまで行けば?」との心強い言葉をもらい迷わず進むことに。
猛烈な向かい風と闘いながらも嵐山に到着。桂川と渡月橋(とげつきょう)は雰囲気が良くて好きです。
ちなみに今回の記事を書くために調べましたが以前は渡月橋を「わたつきばし」と読んでいました。(笑) 皆さん知ってました?
続いて金閣寺方面を通りDIATECへ向かう。さすがは京都市内だけあって歴史のありそうなお寺などがたくさんあり楽しい。
途中で昼食を済ませ昼過ぎにDIATECに到着。しばらく休憩させてもらいライバルの増田と談笑。今回一緒に王滝に出場するほかのスタッフ達にも会えて益々本番が楽しみになってきた。
ここからは鴨川沿いを下っていき途中から伏見稲荷神社の方へ中道を進む。
伏見稲荷は観光客が多いがほかは意外と車が少なく、走りやすかった。
年末年始に家族で京都旅行に来た際に嵐山も伏見稲荷も観光したので今回は画像だけ撮りスルーしましたが京都の街は魅力がいっぱいあるのでゆっくりとポタリングしてみたいですね。
伏見稲荷からは一般道をしばらく走り木津川サイクリングロード経由で奈良市内へ。ここまで自宅を出てから150km以上走りましたが終始強風が吹き続きました。向かい風や横風は大変でしたがASSOSのレースシングフィットモデルのおかげで風の抵抗がずいぶん軽減されたのが体感できた。
長時間のライドでは着心地だけでなく空力も大切ですね。
平城京跡地へたどり着いたので休憩。かなり広い土地で昔ここに都があったんだと思うと感慨深い。
平城京にジャージのイエローが映えます。
ここから自宅まで約40kmはいよいよ膝が限界。痛み止めを使ってもごまかしが効かなくなるが幸いにも追い風になった。息子はまだ元気だったので自宅まで40kmほど引き続けてくれた。
その背中が少し大きく感じて成長を感じましたね。
頭はあんまり成長していませんが。(笑)
予定より時間はかかりましたが何とか自宅周辺に到着。しかしGPSの表示は197km!
このままではモヤモヤするので自宅周辺をぐるぐる回り200km超え。限界からの無駄な3kmは地獄です!
今回は体力に余裕はあったが膝の痛みで大変でした。しかし他にトラブルもなく息子と観光地をたくさん回れて思い出に残るライドになりました。次は300kmに挑戦したいとか言い出していますが…。
仮想王滝ライド Part2
200kmライドの翌週は再び山を3つ越える仮想王滝ライドへ。今回はMTB仲間が4名来てくれたので楽しく走れました。前回と同じく関西シクロクロスC1で走る662cccのボス田口さん、最近一緒に良く乗っている尾崎君、自分と同じくC3で走っている安田君と阿部君。
今回も例外なく王滝に出るのは自分ひとりでみんなは怖いもの見たさのようなノリで来てくれた。
この日は30℃を超える猛暑日だったが午前の山の中は涼しくて気持ちいい。
あまり膝の調子が良くなかったがゆっくりペースだったのでちょうど良い感じ。
前回ハンガーノックになった田口さんは補給系を完璧にしてきた。そして前回の話を知っているほかのメンバーも補給系は完璧でした。前回の経験からみんな意識が高くなっていますね。(笑)
景色の良いところに出ると気持ちが和む。
次回は前日のレース会場からレポートしますのでお楽しみに!
今回も最後の山にはガレ場の激坂がありそこだけは全力アタック。ここは日当たりがいいのでもの凄く暑くてちょっと後半ペースが落ちましたがしっかりと走れた。自分と田口さん以外のメンバーはかなり辛そうに上がってくるのが見ていて楽しい。(笑)
今回も最後のピークで記念撮影。阿部君が見たことないくらいウェアが塩だらけになっていてビックリ!それでも脱水症状や熱中症にならなかったのは補給のおかげですね。
初参加の3名は初めて味わう強度で疲れ切っていましたがノートラブルで走り切れて自信がついたそうです。おそらくみんな王滝は余裕で完走できますね。近いうちに出場しましょう!(笑)
気温30℃を超え、距離75km獲得標高2700mのライド後でもASSOSはサラサラです。
本番も天気が良ければこのウェアで走ろうと思います。
でも雨の場合はどうすればいいんだろう?そこだけはまだ未経験なので情報収集が必要ですね。とりあえず今回も娘たちにテルテル坊主を作ってもらおう!
どうですか?王滝に出るというだけでレース以外にもこんなにも楽しみました。それはMTBでもBMXでも同じで1つ目標ができるとそれに関連したことで日々が充実して楽しいです。
今回の目標は、厳しいと思いますが5時間台100位以内です!
そして達成してvs増田に勝利しDIATECスタッフのメンバーの中でもトップでゴールしたいと思います!
膝の調子が悪くてなかなか限界突破するようなトレーニングができていなかったのも事実ですが本番ではその日の限界点をしっかりと見極めてベストを出し切りたいですね。
万が一、膝が故障してゴールできなかった場合は「増田直樹の3回目の王滝挑戦」に変えてもらおう。(笑)
次回はレース前日のレース会場からお届けすると思うのでお楽しみに!
元?BMXレーサー 土井 昭 SDA王滝100km 3度目の挑戦