元?BMXレーサー 土井 昭 SDA王滝100km 3度目の挑戦 VOL.8

最終回

長いレースもついに後半区間に入り勝負所と決めていたCP3へ。長い上りのストレートで振り返るが増田や加納の姿は見えない。
前回はCP3からゴールまでの区間タイムが208番目とかなり落ち込んでしまったので6時間切りができなかった。今回はそのリベンジをするためにここまで常に最後の坂を駆け上がるイメージを持って走ってきた。

メインのボトルには一口分のドリンクが残っている。ここからなら一口分あれば十分だろう。サブのボトルには半分くらいの水があるが軽量化のためにすべて捨てる。 ここまで来ればもちろんCP3もスルーして勝負に出るしかない!

通過する際にCP3のスタッフの方に「この上りはあと何kmくらいですか?」と聞くと「5kmもないですよ!」とのこと。確かにハンドルに貼ったグラフで見ても残り4km程だ。ここを攻め切れば6時間切りがあるかも?
ここまで来るともはや自分との勝負!「自分に勝てたら増田にも勝てる!限界突破や!」と自分を鼓舞する

 

CP3を通過するとダートの上りに入り斜度がきつくなると先ほどまで上りで勝てなかったライダーをパスする。しばらく進んでから振り返ると姿が見えなくなっていた。良いペースで登れている。
ハートレートセンサーを忘れてしまい心拍数は分からなかったが感覚としてはMAXの180拍に届いていそうな感じだ。

ここまで休憩せずに走っていたので少し傾斜が緩くなったところですっかり忘れていたレースレポート用の画像を撮ることに。本気で走っているときに撮影するのは大変なんですよね~(汗)
何度もGOPROのシャッターを押すのが面倒なのでムービーで撮影。どうせならと実況しながら走行。 レースを終えてから見てみるとスピード感が無さ過ぎて面白くなかった…。

レース中も練習中もLEZYNE MEGA XL GPSが大活躍。レース中はコースプロフィールと照らし合わせて、特に自分の今いる標高・走行距離・経過時間が助かる。自分の状況が分かりやすいな。
そして子供たちの応援メッセージはどんな補給食よりもパワーが出ます。

全力で笑顔を作りましたが苦しくて引きつっていますね(笑)

 

ここでスタートからちょうど80km。
ん~…おかしい…。コースプロフィールとスタッフの方の情報では79km地点までにはピークが来るはずが…来ない。
ロードバイクでアスファルトの上りでも辛いのにMTBでダートの上り、しかも80kmも休憩なしで走ってきてからの上りでの数キロのズレはとても辛い!しかもボロボロの体でかれこれ4kmもスパートを掛けているので体も呼吸も限界!
カメラを切ってからは更に呼吸が乱れ「がぁ~…!はぁ~…!うぁ~…!」と変な声が出る。しかし今回は順位やタイムよりも自分に勝って限界突破することが第一なのでペダリングを緩めない。

42kmの部に参加しているライダーを何人もパスするがこちらの呼吸がうるさ過ぎるからか皆さん振り返って応援してくれる。もちろんエールを送り返し励まし合う。
この辺りから「速く走れば早く終われる!速く走れば早く終われる!」と変な掛け声を唱え続ける。不思議と限界と思ったところから更に追い込めた。

目の前の山のピークが近づいてきた…が、今回もここで王滝の洗礼を受けることになる。
終わりと思っていた上りがカーブを曲がると更に続いている。次の上りも気合いで登りカーブを曲がるとまたもや上りが続く…。
「あかん!これは無限地獄や!いつまで経っても最後の下りに入れへん!」 何度もスパートを掛けているのでおそらく心拍数は190拍を超えている。どれだけ口を開けて呼吸をしても追いつかない!次第に唇が震えている感覚が…。
「あれ?オレ泣いてる?」
そんなはずはないが確かに震えている。すると徐々に視界がぼんやりと白くなってきた…。
「やばい!失神しかけてる!?」そう思いながらもペダリングは止めなかった。もはやトランス状態!

ちょうどそのときにパスした42kmの部のライダーが「ここから最後の下りですよ!がんばって!」と言ってくれた。この時点で時計は5時間20分台くらいだったような?
そして距離はGPSで82kmくらいだったような?思っていたのと3kmも違う!(笑)そりゃキツイ!

 

ようやく無限地獄から解放されて得意のダウンヒル!約10km続くが普通に下れば6時間以内でゴールできそう!ここは1秒でも早くゴールするために攻める!
ギヤはスパスパッとトップギヤに入れ高回転でペダリング!足が回り切ると低く伏せて速度を上げる!ここからは尖った石をジャンプで避け自分も最速ワガママラインを爆走!前のライダーをどんどんパスしていく!

気持ちはガンガン攻めるが疲れ切った体が思うように反応せず何度か危ない場面があった。そしてついに高速コーナーで痛恨のミス!ライン上に大きな石が沢山ありフロントタイヤがグリップを失い横へスライド!
「やばい!顔面から転ける!」そう思った瞬間に体が自動で反応し右足で思い切り地面を蹴ってリカバリー!ギリギリのところでフロントタイヤがグリップし立て直してセーフ!右足の親指の爪はダメージを受けたがそれだけで済んで良かった。

その後も長い直線のあとの急なコーナーで数回オーバーランしそうになったがなんとか耐える。そうこうしているとチェーンリングに泥が大量に詰まりチェーンが外れてしまった。止まって直そうかと思ったが残りの距離が1kmほどでほとんどが下りなので行けるところまでノーペダリングで攻める!
ついに「ゴールまであと少し」の看板が見えアスファルトの平地と緩い上りが混じる区間へ。ここも惰性でプッシュを入れながら進み橋が見えてきた!
惰性で走っているので1名にパスされてしまったが橋を渡り切るとついにゴール!
全力を出し切れた喜びで思わずガッツポーズ!

GPSの表示で約94km獲得標高約2500m!これだけの強度のコースをレーススピードで一度も休憩せずに集中して走りきれた!間違いなく成長できた!
タイムも6時間を余裕で切っていてまさかの午前中のゴールとなりました。

見渡してもDTCメンバーは見当たらないのでようやくメンバー内では1番だと確信する。
限界突破した代償に座り込むと膝も腰もかなり痛くて辛い。

今回は王滝で初めてASSOSのレーシングジャージとビブショーツで走りましたが最後まで動きやすく、常にドライな感覚で快適でとても走りやすかった。空力が良いのもタイム短縮に貢献してくれたと思います。もっと前から着れば良かったな…。

長時間に渡り振動を受け続けたLEZYNEのバッグ類やOHLINSのサスペンションもトラブルなく良い仕事をしてくれました。すっかり泥だらけです。

そして使いだして3年目、3回目の王滝を完走したGIRO EMPIRE VR90は今回も快適で蒸れや痛みなど全くなくノートラブルで最高でした。トータルで考えて間違いなく最高のビンディングシューズの1つです。

画像を撮りながら休憩しているとついに増田がゴール!思っていたより早い!
最後まであきらめずに全力で登り全力で下りを攻めたので右腕の感覚が無くなったそうですが、それはそれはかなり頑張ったのでしょうが残念ながらこちらの勝ちです!

これで王滝では2勝1敗で勝ち越し!

勝負に勝ったことですっかり元気!勝利は疲労回復に一番効くサプリメントです! 増田「負けたことでドッと疲れた…。」
…でしょうね。関西シクロクロスで増田に3連敗したときは自分もドッと疲れたよ…。

増田とは10年以上前から4Xで優勝をかけて何度も勝負をしてきましたが、実はお互い全く面識がない頃に同じレースに出場していたことが発覚。
なんと23年前!ちなみに画像のライダーは当時チームメイトの栗瀬裕太ですがまだ子供ですね。さらに井関もこれに出ていました。

#土井vs増田 は実は23年の歴史があったんですね!このときも自分が勝ってますが。(笑)

さて、土井、増田とゴールし次にゴールしてくるのはワガママラインの加納か?男気の佐々木か?井関は…ちょっと厳しいかな?
2人でレース中の加納の話で盛り上がってるとリアタイヤをパンクさせたままゴールしてきたライダーが!

そう、加納である!予想を裏切らずにパンクしているので爆笑しましたた!(笑)

それでも初参加でさらにパンクした割には早いし何より終始メンバー中一番楽しそうだった。でも、羽生さんにCP2でCO2ボンベを頂いただけではなく、実は佐々木からもCP1でチューブを恵んでもらっており、すべてを使い切り最後の下りの残り3kmで再度パンクしたらしい。恐らくCP1から我慢していたワガママラインを最後の下りで全開放して攻めたんだろう。
さすがは元祖ハードテイルの神だ!(笑) でも王滝的には失格でしょ!?
まぁとにかく無事にゴールできて良かった。

これで二人のハードテイルの神を一気に討伐したことになる。オレなかなかイケてるやん。(笑) というか2人ともパンクさせ過ぎね。タイヤチョイス攻めすぎ!っていうかミスチョイスやろ(笑)

ゴール後に加納はまたパンク修理。LEZYNEのハンドポンプを貸してあげた。疲れているので早く車に戻りたいがなかなかタイヤが外れず時間がかかる。

ここでも加納はニコニコと楽しそうにしているがマジで早くしてくれ!こっちはゴールしてから1時間半くらいここにいてるねん!(怒)
ようやくパンク修理が終わり佐々木を待つが急に冷たい雨が降ってきたので車へと急ぐ。
車へ戻り片付けをしていると佐々木が帰ってきた。佐々木はノートラブルで走りきれたので自己最高タイムが期待される。
更に片付けが終わり、昼寝して、さらにのんびりしているとようやく井関が戻ってきた。果たして完走できたのか?…できました!しかも今回は得意の両足攣りなどが無くノートラブルでゴール!でもできれば両足攣りなどの面白エピソードが欲しかったが…。

DTC王滝部が全員無事に完走できたので記念撮影。

このあと加納が車の中でおじいちゃんみたいな顔で爆睡していましたが画像を載せるのはやめておきます。(笑)
いや~楽しかった!

それでは100kmの部、総合順位…

土井 42位 5:44:03
増田 80位 6:06:08
加納 182位 6:39:55
佐々木 328位 7:30:07
井関 533位 8:55:45

初出場の加納以外は全員自己新記録を更新!DTC王滝部のみんな頑張った!増田、加納もパンクがなければ…いや、レースにタラレバは無いですね。
ちなみに優勝者のタイムは4:18:05 凄すぎる!
2位に23分差ってどうなっているんでしょうね?尊敬です。

個人的には前回の6:03:53 125位を大きく上回り目標だった6時間切り100位以内も余裕で達成できたので大満足。
42位ってマジですか?(笑)
さらに増田、加納にも勝利できたので100点満点のレースでした。

 

そして失神寸前まで追い込んだCP3からゴールまでの記録は…
CP3~ゴール 区間タイム 0:49:02 30番目
なんとなんと30番目の区間タイム!人間やればできるってことですね。もうやりたくありませんが…。
レース後2日間、生まれて初めて顔面が筋肉痛になったんですがおそらくこの区間でハーハーし過ぎて顔の筋肉も限界を超えたんでしょうね。

レースが終わって

増田に果たし状を渡した日から約3ヵ月があっという間に終わりました。今回もレースまでの準備ではたくさんの仲間と色んな所を走ったりセッティングやアイテムを試行錯誤したり楽しかった。

膝の故障もありレースに出れない不安もありましたが一番の不安はレポートをちゃんと書けるのか?でしたね(笑)
結果的にはリスペクトしている仲間達と大好きな自転車で遊んだ日々をそのまま書くだけでした。先ほど自分でもここまでのレポートを読み返しましたが本当に充実した時間を過ごしているなと思いました。一緒に遊んでくれた仲間、サポートや応援してくれたみんなにも感謝!
僕たちはこれからも自転車で遊び続けるのでどこかでお会いしたときは、声をかけていただくなり、#土井vs増田 暖かく見守っていただくなり、勝負をかけていただくなり、なんでもOKなのでよろしくお願いします。王滝100kmの長~いレースレポートを最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!

自分はこのレポートが終わりようやく本当の王滝のゴールです!

…と思っていたら増田からもう次の提案のメッセージが…
はまだまだ続くのかもしれません…

 

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