ASSOS MY SHORTS STORY VOL.2

最良を越える最良

文・自転車ライター 浅野 真則

アソスのウェアを着ると他のウェアが着られなくなる

 

世の中には2種類のサイクルウェアしかありません。アソスか、それ以外か、です。

アソスのウェアを着ると、他のウェアが着られなくなる——。

これは自転車を始めて間もないころにアソスユーザーの先輩サイクリストから聞いた言葉です。アソスユーザー歴が20年近くなる今、その言葉は大げさでも何でもなく、真実だったと確信しています。

僕が最初に購入したアソスのアイテムは、ウインタージャケットとタイツでした。自転車が楽しくて暇さえあれば走りに行っていましたが、「冬はさすがに寒くてつらいし、カジュアルウェアではサマにならないし走りにくい」という悩みをショップで相談したところ、これはいいよと勧められたものでした。他のブランドの製品より値段が少し高い気がしましたが、デザインがカッコよく、さらに機能的については最高とのことだったので思い切って購入しました。

最初にアソスのウェアを着て走りに行ったときのことは今でも鮮明に覚えています。寒くないし、汗をかいて冷えることもなく、「ウェアが違うとこんなにサイクリングは快適になるのか」と感動しました。本当に購入してよかったと思いました。

アソス本社近くのソルマーノの壁を走る。
ジロ・デ・ロンバルディアのコースにも採用される1,920m/平均勾配15.8%の激坂。道は細く、中腹のヘアピンコーナーの部分は最大勾配が27%に達する。

 

サドルに悩むサイクリストはアソスのショーツを試してほしい

冬物がこれだけ素晴らしいなら、春夏物も素晴らしいに違いない――。そう確信し、次の春、アソスの春夏物のショーツとジャージを初めて購入しました。S2シリーズのブルーのビブショーツと、それに合わせたブルーのジャージでした。ブランド名を派手にひけらかすわけでないシンプルなデザインではありますが、配色や複雑で機能的なパターンは見る人が見れば分かる圧倒的な存在感を放っていて、他のブランドと比べても圧倒的にカッコイイと思いました。

ビブショーツは期待に違わず素晴らしいはき心地で、一番感動したのはパッドでした。硬めのサドルでもお尻が痛くなりにくく、ペダリング時にも体にしっかりフィットするのです。今まで履いていたショーツとの違いは歴然でした。

自分に合うサドルを探すことを「サドル探しの旅に出る」などと言いますが、幸い僕はサドル探しの旅に出たことはありません。雑誌の仕事でいろいろなサドルが付いたバイクに乗りますが、アソスのショーツをはいていればサドルの個性は感じつつも「特定のところが当たって痛い」というような不快さはあまり感じません。これはアソスのショーツのパッドが優秀だからでしょう。もしサドル探しの旅に出て迷子になっている人がいたら、ぜひアソスのショーツを試してみてください。そうしたら高い確率でサドル探しの旅に終止符が打てるのではないか、と確信しています。

アソスのウェアはランニングコストではむしろお値打ち

アソスのウェアは他のブランドに比べて高いといわれます。確かに定価だけを比較したらそのように感じても不思議はありません。しかし、ランニングコストを比較すると、実はアソスの方が割安に感じるというのが実感です。

僕は10年ほど前から実業団レースに細々と参戦していて、某ブランドのチームウェアとアソスのウェアを1日おきに交互に着ていた時期がありました。同じぐらいの時期におろしたウェアを比べると、チームウェアの方は半年も経たないうちにビブが伸び、生地も薄くなって所々伸びてきました。パッドにもコシがなくなり、長時間乗り続けると痛みを感じるようになりました。一方、アソスのウェアは全くといっていいほどへたっていません。結局チームウェアは1シーズン持たずに使用に耐えなくなりましたが、アソスのウェアはその後も数年間普通に着ることができました。コストに限って考えても、アソスのウェアは普通のウェアの倍の定価でもむしろお値打ちだと言えます。

さらにアソスはビブショーツやジャケットなどの製品について、修理可能なものについては無償でのリペアにも対応してくれます。購入した店舗に依頼し、代理店のダイアテック 経由でアソス本社に送ってもらう仕組みです。僕はS7ビブショーツを4年ほどはき続けてお尻のところに小さな穴が開いたのですが、無償リペアしてもらうことができました。補修方法も単に穴をパッチなどで埋めるのではなく、穴が開いたところの生地がそっくり新しいものに変わっていました。つまり、一度ビブショーツをほどいて穴が開いた生地を新しいものに変えてもう一度縫い直したということです。一見どこをどう修理したのか分からないほどの高いクオリティから、アソスのアパレルメーカーとしての確かな技術とユーザーを大切にする企業姿勢が感じられ、ますますアソスのファンになったのは言うまでもありません。  元々のウェアの耐久性の高さに加え、無償でのリペアもしてもらえるとなると、ランニングコストでは他のブランドよりむしろ圧倒的に安いと感じられます。その上、極上の履き心地も味わえるのですから、購入価格以上の値打ちがあるのは言うまでもないでしょう。

ちなみに今ではチームウェアはレースでしか着なくなってしまいました。

アソス本社で修理されたショーツ。購入した店舗に持ち込めば対応してくれる。

最新のアソスが最高のアソス

アソスは1976年に世界初のライクラ製ショーツをリリースするなど、常にサイクルウェア界のトップランナーとして君臨してきました。僕がアソスを使い始めてからも、ショーツはS2、S5、S7、S7EVO、S9と進化してきました。新しい世代のビブショーツを履くまでは特に不満を感じないのですが、最新のビブショーツを履くとさらには着心地がよくなっているので、毎回驚かされます。

クローゼットから今もはけるS5、S7、S7EVO、S9世代のショーツを出してきて比較してみると、世代が進むにつれてパターンはより少なくなって縫い目が最小限になり、パッドも進化し、S7世代以降はゴールデンゲートテクノロジーに象徴されるパッドの縫い合わせ方の工夫が施されていることが分かります。S7とS9の違いはそれほどなさそうですが、ロールバーテクノロジーの採用などでペダリング中にパッドがずれにくくなっているのをライド中に感じられ、履き比べると確かな進化の跡を感じられるのです。

僕のアソスのコレクション。 すべて今も現役だ。

ジロ・デ・イタリアのコースで開催されたアソス主催のグランフォンドにも参戦。

 

5年ほど前、アソスが開催したグランフォンドに参戦しがてらアソス本社の工場見学にに行きました。そこで聞いたアソス本社のスタッフの「最新のアソスが最良のアソスである」という言葉がとても印象に残りました。過去や現在の最良を最良とせず、常にさらに上を目指して開発を続けて新世代の製品を生み出しているわけです。その産みの苦しみは相当なものでしょう。

僕は現時点で最高のS9ビブショーツでサイクリングを楽しみながら、次の世代のビブショーツではどのぐらい想像を超える製品を作ってくれるのだろうと、大いに期待しています。

浅野 真則(自転車ライター)

自転車専門誌やWEBなどで活動するフリーランスの自転車ライター。
自転車歴20年でアソス歴も20年近いヘビーユーザー。
自転車関係のワードローブの大半をアソスのウェアが占め、仕事やプライベートで毎日のようにアソスのウェアを着て走っている。Facebook ページ www.facebook.com/writerandriderasano/

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